寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
あと一か月もすると少しずつ暖かくなり、季節も移り変わっていきます。
体調に気を付けてこの時期を乗り切っていきましょう!

本日のテーマは「一人<仲間 この価値は無限大」です。

on-line Class、『人を動かす(D・カーネギー著)』のReportのフィードバックにおいての共通する気づきである、

Ⅰ.知識を知恵に変える方法
Ⅱ.コミュニケーションの重要性
Ⅲ.一人<仲間の価値は無限大

について、

#9では「知識を知恵に変える方法」として学習の5段階モデルを紹介しました。
#10の「コミュニケーションの重要性」ではコミュニケーションとは双方向であることや、売り場でも人を介さずにコミュニケーションを行っていることなどをお伝えしました。

今回のテーマである「一人<仲間 この価値は無限大」、なんだかワンピースに出てくるセリフのようですが、これを理論を交えてビジネスにどう活かすかを考えていきます。

ファンづくり

前回のon-line Classにて客数減に対してどう手を打っていくかについて、ある店長さんから「個店のイベントを実施してお客様との接点を増やし、関係性を構築している」という共有をしてもらいました。
これはそのイベントでの売上だけを目的にするのではなく、お店に愛着を持っていただき、ひいては来店頻度を上げていくような少し先を見据えた施策でとても素晴らしい取り組みであると感じます。

長野県の国内No.1の寒天メーカーである伊那食品工業株式会社はトヨタ自動車や帝人などの幹部が視察に訪れるエクセレントカンパニーです。
この会社を創り上げた塚越寛さんの『年輪経営』という考え方があります。

年輪経営とは一言でいうと倒産しない会社のことです。
(中略)
景気が良くても悪くても、少しずつ毎年必ず成長し、永続を目指す経営手法のことです。
年輪経営を実践するには、
①遠きをはかる
②ファンづくり
③会社のイメージ
④社員のモチベーションを上げること
この四つが大切です。

出典「年輪経営 一度きりの人生を幸せに生きるために」塚越寛著 日経BP社

48年連続増収増益を達成したこの想いは、目先のことだけに捉われず、未来を見据えながらファンをつくっていく努力をすることの重要性を教えてくれますが、先に挙げた店長さんのイベントの開催による地域の方との交流はまさしくこれにあたるのではないかと思います。
先日、この会社に伺う機会があってこの会社の運営するラボや食事処、ショップを見させていただきましたが、すれ違う社員さんや会社の雰囲気など、まさしくファンになってしまう空気感は素晴らしく、この会社の社是である

いい会社をつくりましょう
~ たくましく そして やさしく ~

を体現されているなと感じました。
これも登る山がきちんと決まっているからこそだと思います。

一人の力は有限

話は戻りますが、このイベントの取り組みを行っている店長さんから、「on-line Classのメンバーで一緒にイベントをやってみてはどうか」とご提案をいただきました。そして参加メンバーでこの企画をやってみようという話となりました。具体的には今後のon-line Classで決めていきますが、お店を楽しみながら運営していくという点で面白い取り組みになりそうで私自身ワクワクしています。参加されたい方はぜひご連絡下さい。

さて、これをお読みのみなさんは「イベントを企画する」のは得意でしょうか。(正直にいうと私は得意ではありません…)
得意でないからといってファンづくりを諦めるか、それとも得意な方の知恵を借りながらファンづくりに向かって取り組むか、大きな差が生まれてくるでしょう。
私が接してきた多くの経営者(小売業でもそうでない業種)の方でも業績を伸ばしている会社や優秀な方は総じて人の力を借りるのが上手いというのが共通点であると感じます。
私自身も中小企業診断士として経営コンサルティングや人材育成に関わる活動していますが、税務は税理士の方と、労務は社会保険労務士の方と、手続きは行政書士の方に、など、それぞれの道のプロの知恵をお借りします。
世の中の複雑な仕組みのすべてを一人で身につけ、実践することは不可能です。人の時間、知識、知恵は有限だからこそ助けを借りるのはとても大切なことであると思います。

SECIモデル

「知識経営」の生みの親といわれ、アメリカで知られる数少ない日本人経営学者である野中郁次郎という方をご存知でしょうか。
一橋大学の名誉教授であり、数々の本を出版されている日本が誇る経営学者です。
その方の代表的な理論に『SECIモデル』という考え方があります。
企業が保持している情報・知識と、個人が持っているノウハウや経験などの知的資産を共有して創造的な仕事につなげることを目指す経営管理手法をナレッジマネジメントといい、これを実現するための4つのプロセスを表したものになります。

出典:「知識創造経営のプリンシプル」野中郁次郎/紺野登

少し難しいので簡単にいうと

①表出化
「個人が自然にやっていることは当たり前ではなく、他の人は知らないいい事かもしれないよ」
「だからそれを整理して他の人に伝えることで他の人の気づきになるよね」
②連結化
「それを持ち寄ることによって新しいやり方が見つかり、より高い価値を生み出せる可能性があるよね」
③内面化
「新しいやり方を実践し、失敗も工夫しながら乗り越えていくと自然にできるようになっていくよ」
④共同化
「これを会社内に共有し、実践していくことによりみんなが共通認識として自然にできるようになっていくよね」

という流れです。
厳密にはもっと細かいものですが、興味のある方は野中先生の著書をお読みください。

知識の共有
SECIモデル

一人<仲間 この価値は無限大

前述したSECIモデルの流れをお店、会社で出来るようになるとどうなるでしょうか。

メリット
・より効率よく仕事を進めることができる
・同じ作業の繰り返しから抜け出せる
・新しい価値を提供できるチャンスが増える
・個人の意見、経験を取り入れることにより個の重要感を意識できる
・改善する、良い方向に向かう可能性が高いので雰囲気が良くなる
など、会社やお店のイメージ向上モチベーションアップにつながる可能性が高くなります。

一方でデメリット、または手間としては
・多少のコスト(集まる時間など)がかかる
・コンフリクト/衝突が起こる可能性がある
・ファシリテーション(上手く意見を引き出す)能力が必要になる
という点です。
これをクリアすると皆さん自身の仕事に変化が起こるならば、やってみる価値はあるのではないでしょうか。

まさしくon-line Classでのイベント提案はこのSECIモデルの①表出化と②連結化であったと思います。
この共有の場については本来対面で行うのが効果的ですが、オンラインでの表出化や連結化でもデジタルツールの発展によって少しできるようになってきています。
ぜひ皆さんもミーティングやグループLINE、その他日常の業務にこのサイクルを仕事に取り入れてみてください。

余談ですが、弊社の株式会社HAAFという名前は Human Attachment Assist Farm の頭文字で、「人が様々な知識や知恵、気づきとつながれるよう、手助けをする場」という意味です。
on-line Classもその一環となりますので、ぜひご参加下さい。

今回もお読みいただきありがとうございました。
次回は2022年2月16日更新予定です。
お楽しみに!


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学びを継続して変化に対応できるスキルを身につける「場」として、在塾生および卒塾生が参加できる「on-line class」を1月からスタートしました。
1月の内容はCVS実践経営塾on-line Look Backをご覧ください。
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