今回は単品管理思考法、STEP⑴の番外編、「フレームワーク思考法」についてです。
前回までは仮説に必要な情報の収集方法や捉え方についてお伝えしました。
この情報をどのように整理していくかを解説していきます。
フレームワークとは「枠組み」「骨組み」「構造」などの意味があり、ビジネスにおいては情報を整理してこれを問題解決や意思の決定、さらには戦略の立案などに活かすことを言います。
ロジカルシンキング(論理的思考)を体系的にまとめたものですが、意識を共有する、同じ視点でモノゴトを見る時に有効です。
前回ご説明した通り、人は情報を受け取る時にはどうしてもバイアスがかかってしまい、現状をありのままに捉えることが難しい、さらにはこれが出来たとしても、自分の価値観と違う情報をどう扱っていいか分からなくなります。
たくさんの情報が集まった時、これがどう関連しているのか、さらにはどう活かすのか、頭の中で整理するのは難しいものです。
今回ご紹介するいくつかのフレームワークは常に使わずとも知っておくことで、情報整理やどう活用するかに活かせると思いますので、ぜひ覚えておいてください。
MECE(ミーシー)
フレームワークを説明する前に大切なこととしてMECEを理解しておきましょう。これは「漏れなく、ダブりなく」という意味です。
情報を整理する場合、個の視点からではなく全体を俯瞰する視点でモノゴトを捉える、つまり『鳥の目』で見る必要があります。
(#14 単品管理思考法②|情報の捉え方の「Factを掴む(事実をありのままに見る)」参照)
この全体を捉えた後に情報を整理するにはダブりがないように、そして漏れないようにすることでフレームワークへの落とし込みがより正確にできるようになります。
例えば、下記の図はMECEに、つまり「漏れなくダブりなく」整理できているでしょうか?
◆ある商品のターゲットを決める時
10代は?60歳以上の方は?となりますよね。
全年齢をまずは整理した後にそれぞれの年代において分析をする必要があります。
こちらなら漏れがない分け方となります。
また、「人」をターゲットとする場合には下記のような考え方もできます。
昔のように男性か女性か、ではない多様な価値観を受け入れる、さらには法人という「人」も組み込むと漏れなくダブりなく整理することができます。
さて、同じ「人」を分解して考えるのも、見方によって違う捉え方ができることはお判りでしょうか。
年代や性別、自然人と法人など、この他にも様々な捉え方で切り分けることができます。ぜひ他の捉え方で練習してみてください。
ロジックツリー
ロジックツリーとは、木が枝分かれするようにモノゴトを分解することによって問題の原因や解決策を考えていくフレームワークとなります。
Whatツリー(要素分解)やWhyツリー(原因追求)、Howツリー(問題解決策)など、いくつかの使い方がありますが、今回はHowツリーをベースに説明していきます。
皆さんは「お金がない」と思ったことはないでしょうか。
そんな時にまず思い浮かぶのが、「収入が少ない」か、「出費が多いか」の二つだと思います。
さらに「収入が少ない」問題をどう解決するか。まずは頑張って昇進できるように頑張ることでしょう。また、昇給の交渉をすることも一つかもしれません。その他、最近広がってきている副業などもあります。
「出費が多い」についてはどうでしょうか。食費の使いすぎに対して自炊する、趣味にたくさんお金を使っているのを抑える、最近では携帯を格安キャリアに変えるなど、様々な項目があります。これを洗い出していきます。
これらのように現状を分解して整理することによってどこに手を打つべきかを明確にします。
私が研修でよくお話する、リアル店舗での小売業における売上獲得の分解式である
新規顧客の獲得 × 来店頻度向上 × 買上点数向上 × 商品単価向上
もこのロジックツリーの一種とも言えます。
さて、この「お金がない」をロジックツリー図で表してみます。
「その他」の項目にお気づきでしょうか。「収入を増やす」「出費を抑える」ための努力をいくらしても、「よくお財布を無くす」人がお金を持っているでしょうか。
MECEに整理する、つまり漏れのないようにすることでこのような問題の本質を見逃さない気づきが得られます。
(ここでの例はさすがに気づくと思いますが…)
もし悩みや問題があり、頭の中が整理できていないな、と感じた時にはぜひこのロジックツリーを使い、書き出してみてください。
外部環境/PEST分析
続いては会社や店舗の経営環境の整理についてのフレームワークです。
これには大きく分けて「外部環境」と「内部環境」に分けられますが、まずは外部環境について、PEST分析というフレームワークを紹介します。
PESTとは
POLITICAL(政治的な環境の変化)
/法律や規制、税制度、政府の動きや消費者保護、公正な競争への介入など
ECONOMICAL(経済的な環境の変化)
/景気動向や価格の変動(インフレ・デフレ)、貯蓄率や為替、金利の変動など
SOCIOLOGICAL(社会的な環境の変化)
/価値観の変化や世論、習慣や社会規範、教育レベルやライフスタイルの変化など
TECHNOLOGICAL(技術的な環境の変化)
/イノベーション、技術革新や技術のライフサイクル、生産・商品化技術や代替技術、特許や実用新案権など
の頭文字をとったものです。
それぞれテーマが大きくなっており、これを全て把握するのは非常に難しくなります。
このフレームワークは全てを知るのではなく、自分達がコントロールできない環境の「変化」を整理して会社や店舗の経営環境にどう影響があるかを知ることが目的となります。
例えば下記のようにコンビニエンスストア経営への影響が考えられます。
これは大きな変化となりますが、全体的な把握を行うことで今後どのような影響があるか、事前に心構えができるようになります。
外部環境/3C分析
続いて3C分析というフレームワークです。こちらも外部環境となりますが、PEST分析よりも自社、自店の身近な環境を整理するものとなります。
3C分析は
Customer(市場・顧客)
Competitor(競合)
Company(自社・自店)
の3つのCとなります。それぞれ、下記のポイントを見ていきます。
Customer(市場・顧客)
・市場はどう変化しているのか
・市場が変化した結果、かつての成功要因が機能しなくなっているのではないか
・今後その市場で成功する要因は何か
Competitor(競合)
・そもそも誰と競っているのか(顧客がどちらにしようかなと悩む対象はどこか)
・市場の変化に対して、競合企業はどのように対応しているのか
・その対応に必要な経営資源(ヒト、モノ、カネ)はどのようなものか
Company(自社・自店)
・市場の変化に対して、自社・自店はどのように対応すべきなのか
・競合の対応で参考にできるところは何か
・その対応に必要な経営資源(ヒト、モノ、カネ)はどのようなものか
例えば下記のようにコンビニエンスストア経営への影響が考えられます。
このようにフレームワークを使うことで、前回までの情報を効率よく整理し、経営やマネジメントに活かしていくことができます。
始めから全てを網羅するのではなく、少しずつ落とし込み、経営環境を整理してみてください。
今回はここまで、フレームワークの前提と基本、さらには外部環境までとします。
次回は内部環境についてご説明していきます。
更新を楽しみにお待ちください。
今回もお読みいただきありがとうございました。
次回は2022年3月28日更新予定です!
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